1.お尋ねに対して、遺産の一部を除外して記載し、申告不要であると回答した納税者の行為は、重加算税を構成するか。
2.無申告加算税と別に重加算税が設けられているからには、重加算税の「隠ぺい仮装」と言うには申告しないこと以上に、「申告しない意図を外部からもうかがいうる特段の行動」をとることが必要である。
3.お尋ね書の送付は、相続人に対する相続税の課税関係の照会手続きである。
4.相続人は、これに対して、申告の要不要を検討し、不要と判断した場合にはお尋ねの回答書のみを課税庁に提出することになる。このことは、相続税の課税関係に関する基礎事実を認識しながら、あえて申告をしなかったことを意味する。
5.あえて申告しなかったことは、無申告と同等の行為であるから、これだけで隠ぺい仮装というには足りない。
6.遺産を相続人名義に変更したことは、相続手続きとして通常の行為であるから、これが上記の「特段の行動」に該当することになるわけでもない。
7.多少の計上漏れがあったとしても、記載されている分だけで十分に課税庁が相続の必要があると推測できる金額になっている以上、過少計上したことが「特段の行為」に該当するということもできない。
8.以上、本件の事実関係だけでは、重加算税の付加要件を満たすということはできない。