2名以上の共同名義人で開設するハワイ州のジョイント口座が相続財産となるかが争われた訴訟で、子である相続人からの相続分の支払請求が棄却となった(東京高裁判決261120)。
預金契約がハワイ法により規律されることから、私法上の問題は、ハワイ州法により決定される。
ハワイ州法においては、生存名義人に帰属させないとする意思の存在を裏付ける明確で客観的な証拠等がない限り、生存名義人に帰属すると定められている。
また、州法では、死亡により自動的に死亡名義人の財産を生存名義人が取得するとされ、いったん死亡名義人の遺産を構成するわけではない。
よって、ジョイント口座は直ちに生存名義人の財産になり、相続財産を構成しないことになる。
さて、私法上相続財産を構成しないとなると、税法の適用に関してややこしいことが生じる。
保険と同じく、共同相続人が一時所得を取得したことになろう。私法上の相続財産でない以上、みなし相続財産でもないことから、相続税の課税対象ではないということになるからである。