3 総額表示
財務諸表に記載する金額は、原則として総額をもって表示しなければならない。
4 会計年度
社会福祉法人の会計年度は4月1日に始まり、翌年3月 31 日に終わるものとする。
5 事業区分
社会福祉法人は財務諸表作成に関して、社会福祉事業、公益事業、収益事業の区分(以下「事業区分」という。)を設けなければならない。
6 拠点区分・サービス区分
(1)社会福祉法人は財務諸表作成に関して、実施する事業の会計管理の実態を勘案して会計の区分(以下「拠点区分」という。)を設けなければならない。(注3)
(2)社会福祉法人は、その拠点で実施する事業内容に応じて区分(以下「サービス区分」という。)を設けなければならない。(注4)
7 内部取引
社会福祉法人は財務諸表作成に関して、内部取引を相殺消去するものとする。(注5)
*会計年度は三月決算となる。
*事業区分は必須である。
*拠点区分は必須である。ただし、会計管理の実態を勘案した区分であることに注意する。
*拠点区分の中で、実施事業内容に応じたサービス区分を設けなければならない。
*まとめると、拠点ごとに会計区分を設け(拠点区分)、これを事業区分で集約すると同時に、逆に拠点内で部門別処理を行うことになる。
(注3)拠点区分の方法について
拠点区分は、原則として、予算管理の単位とし、一体として運営される施設、事業所
又は事務所をもって1つの拠点区分とする。具体的な区分については、法令上の事業種
別、事業内容及び実施する事業の会計管理の実態を勘案して区分を設定するものとする。
(注4)サービス区分の方法について
サービス区分は、その拠点で実施する複数の事業について法令等の要請により会計を区分して把握すべきものとされているものについて区分を設定するものとする。例えば、以下のようなものがある。
(1)指定居宅サービスの事業の人員、設備及び運営に関する基準その他介護保険事業の運営に関する基準における会計の区分
(2)障害者自立支援法に基づく指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準における会計の区分
また、その他の事業については、法人の定款に定める事業ごとに区分するものとする。
サービス区分を設定する場合には、拠点区分資金収支明細書及び拠点区分事業活動明細書を作成するものとし、またサービス区分を予算管理の単位とすることができるものとする。
(注5)内部取引の相殺消去について
当該社会福祉法人が有する事業区分間、拠点区分間において生ずる内部取引について、異なる事業区分間の取引を事業区分間取引とし、同一事業区分内の拠点区分間の取引を拠点区分間取引という。同一拠点区分内のサービス区分間の取引をサービス区分間取引という。
事業区分間取引により生じる内部取引高は、資金収支内訳表及び事業活動内訳表において相殺消去するものとする。当該社会福祉法人の事業区分間における内部貸借取引の残高は、貸借対照表内訳表において相殺消去するものとする。
また、拠点区分間取引により生じる内部取引高は、事業区分資金収支内訳表及び事業区分事業活動内訳表において相殺消去するものとする。当該社会福祉法人の拠点区分間における内部貸借取引の残高は、事業区分貸借対照表内訳表において相殺消去するものとする。
なお、サービス区分間取引により生じる内部取引高は、拠点区分資金収支明細書及び拠点区分事業活動明細書において相殺消去するものとする。
運用指針 4 拠点区分及び事業区分について
(1)拠点区分について
拠点区分は、一体として運営される施設、事業所又は事務所をもって1つの拠点区分とする。
公益事業(社会福祉事業と一体的に実施されているものを除く)若しくは収益事業を実施している場合、これらは別の拠点区分とするものとする。
(2)拠点区分の原則的な方法
ア 施設の取扱い
次の施設の会計は、それぞれの施設ごと(同一種類の施設を複数経営する場合は、それぞれの施設ごと)に独立した拠点区分とするものとする。
(ア) 生活保護法第 38 条第1項に定める保護施設
(イ) 身体障害者福祉法第5条第1項に定める社会参加支援施設
(ウ) 老人福祉法第 20 条の四に定める養護老人ホーム
(エ) 老人福祉法第 20 条の五に定める特別養護老人ホーム
(オ) 老人福祉法第 20 条の六に定める軽費老人ホーム
(カ) 老人福祉法第 29 条第 1 項に定める有料老人ホーム
(キ) 売春防止法第 36 条に定める婦人保護施設
(ク) 児童福祉法第7条第1項に定める児童福祉施設
(ケ) 母子及び寡婦福祉法第 39 条第1項に定める母子福祉施設
(コ) 障害者自立支援法第5条第 12 項に定める障害者支援施設
(サ) 介護保険法第8条第 25 項に定める介護老人保健施設
(シ) 医療法第1条の5に定める病院及び診療所(入所施設に附属する医務室を除く)
なお、当該施設で一体的に実施されている(ア)から(シ)まで以外の社会福祉事業又は公益事業については、イの規定にかかわらず、当該施設の拠点区分に含めて会計を処理することができる。
イ 事業所又は事務所の取扱い
上記(ア)から(シ)まで以外の社会福祉事業及び公益事業については、原則として、事業所又は事務所を単位に拠点とする。なお、同一の事業所又は事務所において複数の事業を行う場合は、同一拠点区分として会計を処理することができる。
ウ 障害福祉サービスの取扱い
障害福祉サービスについて、障害者自立支援法に基づく指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準(平成 18 年厚生労働省令第 171 号)(以下「指定基準」という。)に規定する一の指定障害福祉サービス事業所若しくは多機能型事業所として取り扱われる複数の事業所又は障害者自立支援法に基づく指定障害者支援施設等の人員、設備及び運営に関する基準(平成 18 年厚生労働省令第 172 号)(以下「指定施設基準」という。)に規定する一の指定障害者支援施設等(指定施設基準に規定する指定障害者支援施設等をいう。)として取り扱われる複数の施設においては、同一拠点区分として会計を処理することができる。
また、これらの事業所又は施設でない場合があっても、会計が一元的に管理されている複数の事業所又は施設においては、同一拠点区分とすることができる。
エ その他
新たに施設を建設するときは拠点区分を設けることができる。
(3)事業区分について
各拠点区分について、その実施する事業が社会福祉事業、公益事業及び収益事業のいずれであるかにより、属する事業区分を決定するものとする。
なお、事業区分資金収支内訳表、事業区分事業活動内訳表及び事業区分貸借対照表内訳表は、当該事業区分に属するそれぞれの拠点区分の拠点区分資金収支計算書、拠点区分事業活動計算書及び拠点区分貸借対照表を合計し、内部取引を相殺消去して作成するものとする。
(問20) なぜ、拠点区分を設定しなくてはいけないのか。(運用指針-4 拠点区分について)
(答)
旧社会福祉法人会計基準においては、同一法人内において、複数の社会福祉事業を行う事業所を運営している際に、個々の事業所毎の財務状況が把握できないという問題がありました。
そのため、新会計基準においては、同一の法人において複数の事業所を運営している場合においては、拠点(事業所)単位で財務諸表を作成することとし、経営管理の実態に即した予算管理が可能となるよう、拠点区分を設定することとしました。
なお、法人内に複数の拠点がない場合には、拠点区分別の財務諸表を省略できる等、事務の簡素化にも配慮しています。
(問21) 運用指針「4 拠点区分について」(1)の規定により、社会福祉事業と一体的に実施されている公益事業は社会福祉事業と同一の拠点区分となるが、その場合の事業区分はどのように判断すれば良いのか。(運用指針-4 拠点区分について)
(答)
運用指針「4 拠点区分について」(3)の規定により、その拠点での主たる事業が社会福祉事業であれば一体的に実施する小規模な公益事業も含めて社会福祉事業区分に計上にすることとなります。一体的に実施する小規模な事業については、サービス区分を設定することで、収支の実態が判るようにしています。
なお、収益事業は、社会福祉事業(及び公益事業)とは別の拠点区分としますので、収益事業の拠点はそのまま収益事業区分に計上します。
(問22) 道路を挟んで別の建物により運営している施設・事業所を同一の拠点区分に含めて会計を処理することは可能か。(運用指針-4 拠点区分について)
(答)
運用指針4による取扱い及び法令上の事業種別を勘案した上で、予算及び組織管理上、一体的に運営されているのであれば可能です。